リリカルスプラッタ 御茶漬海苔作品
退会忘れでポイントが溜まりまくっていた電子書籍サイトで、さてなにを読んで消化しようかということでホラー作品を探し求めていたわけですが、名前は知っていたけれどちゃんと読んだことのなかった御茶漬海苔作品を攻めてみたのです……
御茶漬海苔といえば、独特な絵柄。
(余談ですが絵が下手と評する人がいて驚きました。背景とかセンスがあって、すごくおしゃれだと思うのに!)
『魔夜子ちゃん』(地獄から来た女の子、ホラーなドラえもん)
- 作者: 御茶漬海苔
- 出版社/メーカー: 青林堂
- 発売日: 2005/05/18
- メディア: コミック
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『鏡の国のキュルキュル』(キャラがキモかわいい)
まずこの有名所だと思われる作品を読みました。絵柄も、ザ・御茶漬海苔です。
主人公は少女。少女たちが主役です。
心優しい少女がたくさん出てきてほっこりするよう。ほんと可愛い。
感情移入を拒むような絵柄かと思いきや、そうではありませんでした。
何よりびっくりしたのはそのオシャレさで、記号的表現が効果的に使われています。
これらは少女向けということで、ファンシーな一面も持っているのですが、そのギャップがまたよいのです。「少女愛好」という言葉がありますが、少女「が」愛好する表現と、少女「を」愛好する表現は、不思議と接しています。その共通する「何か」を感じ、読み漁りました。(暗い部屋で液晶画面を凝視したせいか眼精疲労になりました)
そして濃い感じのあの絵柄ではない、少女漫画的と言えばいいのか、繊細な線の絵柄の作品にも出会いました。いろいろ短編はありましたが、ちょっと紹介しにくいので、好みだった作品集を。
『TVO』(改題・恐怖テレビ)です。
1989年から、「週刊ヤングサンデー」にて連載されていた、一話完結型の作品。
スプラッターでサイコで社会風刺的でリリカルです。
ヤングサンデー連載ということで、大人テイスト。
カルトにはまる少年たち、性虐待を行う母親、受験戦争管理教育、ゴミ袋に捨てられる少女……
乾いた背景が、破壊される人体、様々な暴力を引き立たせます。
「ビョーキ」な感じは、当時の最先端で、もしかしたら古さを感じる人もいるかもしれませんが、私にとって、この空虚さはドストライクでした。
まっさらな、家。狭い、一人部屋。
広いけど狭い、閉塞感。
TVOの第一話(チャンネル1)は、この、都市の中の一部屋から始まります。
星新一「窓」を彷彿とさせる、乾いた砂嵐……
どきどき。
チャンネル1「パネルショー」からかなり、スプラッタです!!
(以下、アダルトなシーンを引用します。ごめんなさい。)
この部屋も、素敵。
チャンネル25「メルトダウン」という作品の、最後のページです。
乾いたマンション、乾いたベッド、乾いたブラウン管。
そこで人間の湿った(ここではセックスですが、人間を解剖したり、強姦したり、色々です)行為が行われる。乾いている……ある意味、非人間的な空間に、ぽっと生々しく、「人間」が表れている気がして、とても好きなんです。
圧倒的コンクリ感!
そして少女の描き方が……嗚呼少女趣味……(少女「が」趣味な感じ)
背徳的で、ずっきゅんきゅん。ある特定の要素をマイルドにした鬼頭莫宏っぽさがあります。
少女がひどい目によく遭うのですが、ひどいことをする人もきちんとおぞましく、そして個性豊かに描いていて、たまりません。
連載だし、全部の話が気に入ったわけではないし、風刺っぽい部分に今更感(そりゃ20年前のホットトピックだもん)が全くないということはないけれど……「恐るべき子供たち」的な話はやっぱり素敵にゾッとするし、猟奇殺人はいつの世の中でも起こっているし、なにより絵面がかなり好みだったので、思わずブログに書いてしまいました。(好み好み言い過ぎかしら、説明苦手で、つい)
おしゃれだよ〜!!